Coach the novice. 2nd season

アメフト未経験。早稲田大学卒。企業に就職できなかった私がひょんなことから社会人アメフトのプロコーチに。コーチ歴2年の新米コーチの悩みや気づき、おぼつかない足取りを辿っていきます。

エッセイ「2020」

 年末に投稿しようと思っていたエッセイがあったのだが、師走は忙しなく過ぎていくものだ。私は学生をやりつつ、社会人チームでコーチをやりながら、School of Analyzing and Scouting(以下、SAS)という屋号で個人事業をしている。名前の通り「分析」とか「スカウティング」についての知識やスキルを教えて回っているのだが、有難いことに12月の中頃から末にかけて6つの大学で講義をさせていただいた。
話は逸れるが、昨年8月に事業を始めてから20近い大学の学生に講義の依頼を頂いている。そのうち数チームとは無料の体験講座だけでなく、6回ないしは12回の本講座をご契約いただけた。企業で働くことを頑なに拒否してきた私であるが、個人事業を始めると、それはそれでホームページを作り、営業をして、契約をゲットし、税金周りの会計だったり、その他雑務を自分の力でこなさなければならない。売り物である講義の内容は一辺倒では価値が保てないからアップデートしつつ、受講してくれる学生に合わせて調整する必要もある。社会経験がない分、無駄足が多い。多忙貧乏、なんて言葉があるかは知らないが、今はそういう時期なんだと思う。

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エッセイ「甲子園前夜」

 去年のちょうどこの時間。甲子園前夜。新大阪のホテルの一室。後輩のASふたり、OLの選手ひとりと、4人でコールシートの読み合わせをしていた。毎試合、前夜にこのメンバーでコールシートを上から順に確認しながら、このプレーはここをチェックするとか、こうじゃなかったらこっちのプレーに入れ替えるとかいう話をするのがルーティンのひとつだった。もともとは試合前にイメージトレーニングをしようと始めたことだったが、実際にはそれぞれが落ち着くための、それこそ儀式的なものであって、話す内容よりも多少の軽口をたたき合いながら「じゃあまた明日」と解散するのが心地よかった。

 結果は20-37で敗戦。スポッター席からグラウンドに降りると、泣き出す後輩にかける言葉が見つからなかったのを覚えている。ロッカールームでも何を話していいか分からなくて、後輩たちに「負けたら何も残らない」と言って辛気臭く解散した。気分が落ちると突然雨が降るというのはドラマの世界だけだと思っていたが、真っ暗な空からザーザーと雨が降る中帰路についた。帰りの新幹線では嫌がらせのように「第73回甲子園ボウル 関西学院大学の優勝」と速報ニュースが車両内の電光掲示板を流れていく。勝てば恵みの雨、新幹線の速報は祝辞に思えたのだろう。

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エッセイ「フットボールへのリスペクト-私が発信する理由-」

 発信することは得意ではない。特にTwitterはあまり好きでもない。140字の文字数制限が非常にストレスである。無論、みな同じ条件であることも、その枠をいかに活用するかが腕の見せ所なことも理解はしているのだが、それにしても言葉がとっ散らかってしまう。そんなことを書いていると、そういえば自宅は物が散乱しているし、机の上は資料やらペットボトルやらで快適なデスク環境とは程遠いことを思い出した。元来、整理整頓が得意ではないということをこんな形で再認識させられる。
 何の話だったか。そうだ、発信することについてだ。文字数制限がないという意味ではエッセイはいい。思ったことや感じたことを徒然なるままにタイピングすればいい。ネット上に公開することがなくても、日記や授業プリントの端に自分の想いを脈絡なく書きなぐるという行為はストレス発散になる。それは多分、胸の奥にある本音が視覚的に、しかもメタ的に現れることで自分と気持ちが切り離されるからだろう。客観的に自分を見て、ある意味で冷める。例えば、誰かにすごく腹を立てて「おいお前!前から思ってたけど、上からな態度とか、自分のこと優秀だと思ってる感じムカつくんだよ!!さっさと就職しろバカ!!」と送信ボックスに打ち込んでみたはいいものの、その文面を見たらそれなりに満足して送らず終いという経験があるだろう。もし次に同じ衝動に駆られても是非その怒りは胸の内に収めておいてほしい。

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Game Plan「Game 6 アズワンブラックイーグルズ戦」

 Game 6 アズワンブラックイーグルズ戦

 ゲームプラン①左右に揺さぶりをかける

フロントは2メン、3メン、4メンと多様。正確なギャップコントロールよりもリアクションとパスートでストップしている印象が強い。まずは左右に大きく展開するスクリーンプレーやゾーンプレーを基調としてセカンダリーにフロウを強調させる。その後ジェットモーションのカウンタープレーやミスディレクションを用いてLBの足をストップさせる。

またこれまでランからパスモアにコントロールしてきたオフェンスだが、プレーアクションを序盤から組み込み、同じくLBの足を止めてパスからランモアな状況を作り出す。

 ゲームプラン②ボックスをオーバーカウントさせない

プレーアクションや左右への展開によってLBの足を止めるだけでなく、ボックスに人数を集中させない。相手から見ても、ミネルヴァオフェンスの最大の脅威はラン。ボックスの人数をコントロールすることはミネルヴァにとっての生命線。RPOとリードオプションではQBの性格なキーリードが必要。QBだけでなく、TBにはスピードを、ブロッキングにははっきりとした動きを求める。

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